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世界遺産の建築家ル・コルビュジエ作品唯一の“動く”建築「アジール・フロッタン」復活プロジェクトを推進、セーヌ川の底から引き上げに成功 Message Board

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建築情報 

世界遺産の建築家ル・コルビュジエ作品唯一の“動く”建築「アジール・フロッタン」復活プロジェクトを推進、セーヌ川の底から引き上げに成功

?建造から約100年、2022年3月一般公開に向けて、復元作業を開始?
近代建築の巨匠として知られるル・コルビュジエがリノベーションを手掛け、弟子の日本人建築家・前川國男が担当したコンクリート船「アジール・フロッタン(=浮かぶ避難所)」が、2020年パリで復活しました。

日本建築設計学会ル・コルビュジエの船再生委員会(委員長 遠藤秀平)と公益財団法人国際文化会館(理事長 近藤正晃ジェームス)はこのほど、両者が推進する「アジール・フロッタン復活プロジェクト」において、2018年の増水でパリ・セーヌ川に沈んだ「アジール・フロッタン」の引き上げに成功したことを発表いたします。

2020年春に実施予定だったスケジュールから、コロナ禍の影響から期間延長となり、今秋より作業を再開、2020年10月19日、引き上げが完了いたしました。今後は船体補修と内部の修復を行い、ル・コルビュジエのオリジナルデザインを復元した文化施設として再生し、2022年秋の公開を目指してまいります。

日本においても多くの建築家に影響を与え、ファンも多い、ル・コルビュジエが残した貴重な世界文化財を守るという本取り組みを通じて、私たちは日仏の文化芸術交流を深めるとともに、より多くの方に難民問題などの社会課題に関心を寄せていただき、また芸術、建築に興味を持っていただく機会を広げていきたいと考えております。

<年内の活動スケジュール予定>

・2020年10月08日 引き上げ工事開始
・2020年10月20日 船体浮上開始
・2020年11月06日 引き上げ工事完了
・2020年12月上旬 引き上げに関する報告と今後のスケジュールについてご報告


<アジール・フロッタン復活プロジェクト 経緯>

「アジール・フロッタン」は、第一次世界大戦後のパリ市内にいた難民の避難所として、ル・コルビュジエがリノベーションした船(ルイーズ・カトリーヌ号)のプロジェクト名です。もとは石炭を運搬するコンクリート船でしたが、救世軍の依頼により、1929年にル・コルビュジエがリノベーションを担当し、1995年までさまざまな難民のために使われ続けてきました。

 その後、老朽化により幾度も廃船の危機に晒されますが、2006年にはパリ在住の有志5人が救世軍から船を譲り受け、補修工事がスタート。1929年当時、本プロジェクトを担当したのが、ル・コルビュジエに学び、その後日本における近代建築の原点となった建築家・前川國男氏だったという縁から、2006年に日仏共同の修復プロジェクトが開始。2008年には建築家・遠藤秀平氏による工事用シェルターの設計、2017年には再生プロジェクトが始動し、日本企業による桟橋の寄贈が進められてきました。

 ところが、2018年2月のセーヌ川の増水により、船体が水没。一時はプロジェクトが暗礁に乗り上げたものの、2019年、前川國男を含む3人の建築家が共同設計した唯一の建物としても知られる国際文化会館が助成・協力を決定。日本建築設計学会により「アジール・フロッタン復活プロジェクト」が始動し、ついにこのほど船体の引き上げに成功しました。

 ル・コルビュジエは1929年の改修の際、箱型の船体に、柱と屋根、水平窓を加える増築を行い、近代建築の理想型としての内部空間を実現しました。まさにコルビュジエが提言した「近代建築の5原則」を体現するものであり、2016年世界遺産となった代表作「サヴォア邸」の設計に先だって実現した建築史上、大変重要な作品と言えます。また、当時最先端の技術が搭載されていた客船や飛行機、クルマなどに着目していたコルビュジエが手掛けた唯一の“動く建築”という点でも注目されます。

<復活プロジェクト統括・復元設計/工事監修 遠藤秀平氏(建築家・神戸大学教授)のコメント>

「アジールフロッタンがセーヌ川の水面に再浮上しました。
2018年2月に水面下に姿を消してから2年10ヶ月が経過しました。これまで2005年に初めてアジールフロッタンを訪れてから15年ですが、この2年10ヶ月はとても長い年月でした。再浮上は稀にしか立ち会うことのできない、本当に嬉しい出来事です。このコンクリート船が生まれてからこれまでの100年ほどの間で何度も廃船の危機に瀕し、水没後もセーヌ川河川局から解体撤去の申し出もありました。また、文化や制度の違いによる様々な困難もありましたが、日仏で協力してくれる多くの人々の尽力により再浮上が実現しました。これは奇跡と呼んでもいい出来事ではないでしょうか。このプロジェクトに関与していただいた皆さんに感謝申し上げます。今後は修復と復元、長い道のりが続きそうですが、アジールフロッタンを日仏の文化と建築の交流の証として、未来へ引き継ぎたいと考えます。この数奇な運命を辿っているアジールフロッタンに向けて、皆さんが関心を持ち続けてもらえることを願っています。」

<アジール・フロッタン復活プロジェクト 詳細/公式サイト>
URL:http://www.asileflottant.net/

アジール・フロッタン - Asile Flottant

ル・コルビュジエが設計した難民収容船「アジール・フロッタン」が回収され、文化施設として再生されます。

www.asileflottant.net

アジール・フロッタン - Asile Flottant

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